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4.国民のコンセンサス

 

行政の情報化が国民生活に直接関わってくるべきであるとするならば、行政の情報化を推進するにあたって、その受益者である国民の理解を得ることが不可欠である。このことは、30年前の事務処理用個人コードの統一が国民の理解が得られず、その検討が棚上げされた経緯から明らかである。行政の情報化推進に関して国民の理解を得ることの意味は以下のような点が考慮され、解決されることである。

* 普及・広報活動によって、趣旨、目的等の理解を得ること。

* 情報化の推進によって、何がどのように改善されるのか、例えば、行政サービスの変革は国民にとっていかなるベネフィットとなるのか等が具体的に示されなければ、真の理解を得ることは困難である。

* ベネフィットとの兼ね合いで、その情報化の推進に要するコストに関して理解を得ることが必要である。

* 国民が不要な不安感を持たないよう、施策を明らかにし、不安とされる点に対する措置についても十分施した上で、問題を提起し、世論を喚起する必要がある。

* プライバシーに対する過剰反応や情緒的な反対感情を説得するだけの適切な説明が求められる。

このような実質的な意味での国民の理解が得られないと、個人コードの統一のような問題を繰り返すことになろう。特に、住民記録システムのネットワーク構築は大きな構想であり、そのイニシャル・コストや運用後の経費は莫大なものとなることが予想されるだけに、そのネットワークによる、市町村だけにとどまることのないベネフィットが具体的に保証される必要があろう。

 

5.情報安全保障

 

従来あまり議論されてこなかった事項としていわゆる、情報安全保障の問題がある。一般的な情報のセキュリティというレベルではなく、国の安全保障という観点から行政の情報化を検討することが必要であるのではないか。特に、技術的にはネットワーク化が進み、その利用が国境を超えている状況にあること、また、制度的には、現在の要綱にしたがって情報公開法が制定されることとなると、外国人を含め何人も日本の行政情報の開示を請

 

 

 

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